◎本当に最近ですが、人の会話を聞いている時でも、「私ならもっとおもしろい返答するのに!もったいない」とまで、思う余裕が出てきました。仕事をしていても、笑っている時間が増えたと思います。宿題は、かなり大変ですが、確実に身になっている実感があります。自分でも、これからが楽しみになっています。/O・Tさん(看護師) |
◎今回、見知らぬ方から何度か「こんにちは」と声を掛けられました。これは講習以前にはあまりなかったことです。一度はかなりご年配の方につかまり、延々と身の上話を聞かされたこともありました。どちらかというと声をかけにくいほうではないかと自分では思っておりましたので、できるだけ壁を作らない様にすることと、眉間に皺を作らない様にすることを心掛けていたのがよかったのかもしれません。いかにして人の笑いを引き出すか、それによってどんな影響を回りに与えていけるか…。これは本当にむずかしいものでしたし、つくづく考えさせられました。/M・Yさん(会社員) 神奈川県 |
◆「心にしみる温かい笑いについての報告書」から◆ |
◎<ある転移性脳腫瘍の51歳女性Aさんとのやりとりから経験させていただいたこと>
私はこのとき「ここでなんて言ったら良いのだろうか。笑い療法士としての声かけとは一体どういうものなのか。」と自分の中で幾度も問いかけをしました。考えても考えてもその瞬間瞬間で常に状況は違っていてはっきり答えは出ませんでした。ただ、心が萎えてしまっている状況で、その方の微笑をいかに引き出すような声かけをする準備が常に自分にできているかがとても重要になるのだと今は考えています。(中略)その場に応じて自分の持っている引き出しから声かけをできるように、よりいっそうの努力と実践をしていこうと考えます。/A・Hさん(看護師) 岡山県 |
◎温かい笑いを引き出すためには相手との信頼関係が成立していることが第一である。こちらを信頼し安心して心を開いてくれないことには会話は成立せず警戒され心を閉ざされるか逃げられるのがせいぜいだ。そのためにはまず適当な距離をおいて座り、視線の高さを合わせる。はじめはこちらからの挨拶だけでもよい。その際、声の大きさや話すスピードにも配慮が必要である。大きな声で早口にまくし立てたのでは逆効果である。
口をきいてくれなかったら、きいてくれるまで何回でも足を運ぶ。挨拶の言葉がでてきたらあとは会話のきっかけだ。きっかけをつくるためには、駄洒落のひとつでも飛ばしてみる。相手の警戒心が解ければあとは訴えをよく聴く。その際に幅広く色々な知識を持っていれば相手に合わせることができ話題は途切れず自然会話もスムーズになる。講習会で引き出しの重要性を強調されたのはこのことだと思う。そのうちに何でも話ができるようになれば、お互い思いを共有することができる。そうなれば温かい笑いが出てくるのは時間の問題だろう。
他の病院から私を頼って移ってこられた30代の女性腎不全患者さんと、以上のようなことに気をつけ、仕事が保育士であること、将来に対する不安があることなどの情報を集めたあと相手の表情を見ながら何回かに分けて充分時間をとって、じっくり今後の見通し、治療についてお話をしたら、硬い表情が徐々に和らぎ3回目にはわかった様子でにっこり微笑んでくれ、とてもうれしかった。温かい笑いの難しさと引き出した時の充実感を味わった。/K・Hさん(内科医)群馬県 |